『 ある春の命の物語 第9章 』
2002.5.16 (木 ) ( の続き )
からっぽになった巣!!!
本来、これを見る事になった時、
それはなんとも言えない充実感にひたりながら
旅立っていったまだ儚げな命を思い、
それでも彼らのこれからの「生 」が輝かしきものであらん事を祈り…

といった感慨深いものになるはずだった。
が、いくらなんでもイキナリが過ぎる。
・確かに昨日の夕方、
親ツバメが子供達に「飛びなさい」と促している光景があった。
それにしてもまだ早い気がしたのと同時に、
何か焦っている様にも見えなくもない様子だった。
もちろん、それは人間側で勝手に推測していただけではある。
ただ昨日、別の巣の子ツバメが不器用な「初飛び」に
一生懸命チャレンジしている姿を見た時、
こちらの 『 定点SK一家 』 でも同じ光景が見られる事を
楽しみにしていたので、
「 ひどいな、ひとことの挨拶もなしに… 」
と。
つまりこれがホンネか。
・そんな事を思いながら、
それにしてもあの子っちはどこへ行っちゃったんだろう、と
その後も気になり続けていた所。
道の向かい側にある、あるお店のひさしの付近に
数羽のツバメがウロウロしているのが見えた。
「!!!!!!!!」
別の時間帯には電線にも数羽を見かけた!

「あの子っちか!?!?」
確かめる術はない。
しかし…
か、か、か、からす!!!
・現在、2位・ネコ、3位・ヘビ を抑え
「ツバメにとって何よりオソロシイ天敵、危険度
No.1 」
であるのが、カラスであろうと言われている。
の、カラスが、
明かに先ほどツバメが何羽かいたあたりを
じーーーーーー…っと見ている。
「見るなーーーーー!」と、思った。
「頼むよ、ハンバーガー買ってあげるから、ツバメはよそうよ」
と、テレパシーを送って見た。
だのに、

まだ見てる。
・カラスが大変にアタマの良い鳥であるのは
つとに有名である。
ある話では、巣に居るちびツバメより、
巣だったばかりの「ヘタ飛び状態」の小中学生くらいの
子ツバメの方が捕まえやすいのか、
どこの巣のツバメがいつ頃飛び立ちそうか
ちゃんとチェックしているケースもある、とのことである。
カラスがあれだけじいーっと見つめているのは、
既に何羽かのツバメが犠牲になり、味をしめているからなのか、
あるいは、まだ捕まえられないでいるから
あのように執念深い眼差し(実際には全て真っ黒で、どこが目だか何だか、)で、狙っているのか。
・夕方、改めて道の向かいの店の周りや、
もう少し広い範囲でそこらあたりを探してみたが、
ツバメ達はもうどこにも見当たらなかった。
カラスも居なくなっていた。
2002.5.17 (金 )
前日の突然の「ツバメ一家失踪事件」を引きずりつつ、
今日はどうかと見てみると、
そのショックにさらに追い討ちをかける状況が目に飛び込んできた。
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お家がさらに破壊されている模様。
どういった事情でこういう事が起こるのか、
自分が知ってる限りの情報、考えられる限りの想像を
全て持ち出しながら考察して見る。
@ まず、最悪のケースを考える。やはりカラスの襲撃か…
A あるいは、最良のケース。夜には子ツバメ達が帰ってきてて、
飛ぶのがヘタだし、留まるのもヘタだし、
もうみんな大きいし力もあるので、巣が壊れちゃったのか…
B 中間のケース、彼らが無事かどうかは置いておいて、
この巣のアリ様は、よそのツバメが別の巣を作る材料を、
空家になったばかりのこの巣からもらっていった…かな?
実際、近所にいつのまにか新しい巣が作られていた。
きっとこの新しい巣のツバメが材料を…
いや、このBが何か最も有りそうに思えていたが、
後から冷静に考えると、最も有り得ないケースである、
と、思いなおした。
近所の新しい巣の出来具合からすると、
まだこちらの巣に子供達が居た頃から作り始めていたはずである。
つまり、最悪の@か、最良のAか。
・ そして、先ほど「置いといた」方の話。
彼らは無事なのかどうか。
どうにかしてこれを確かめる方法はないだろうか。
そしてここから、
「消えたツバメ家」の消息をもとめ、
さらに「そもそもツバメとはいかなる生き物であるのか」という
根本的な主題をも追求していくハメにまでなってゆき、
しばらくの間、アタマはツバメ100%、といった、
常軌を逸したアリ様になりはててゆくのであった。
その模様をどの様にここに記していけるものなのか、
全く持って何の補償も出来ないが、
どちらにしろそれは、
『 第10章 』 以降での事になる。