『 ある春の命の物語 第 11章 』
2002.5.17 (金 ) の、続き。
まずは、ツバメ・マップ 改訂版をどうぞ。

ここからは
以外のそれぞれに巣の観察の記録を紹介していきたいと思う。
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まずこの辺りのツバメの巣の中で一番に巣立ったこの家族から始めてみる。
A街道の、ある床屋さんのガレージの中に大きめな巣をつくったここのツバメ家族は
この辺りで最も早くから子育てを始めていたようで、
知る限りではこのあたりで一番初めに子ツバメの「初飛び」があった。第7章、第8章
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ぶきっちょに飛びまわる子ツバメは
いきあたりばったりで
適当にとまれる所にとまってしまう。
交通標識の「とまれ」にも
2羽、3羽ととまっていたりした。
漢字を読めるらしい。
この標識は巣の近くにあって
親はもっと遠くに飛び立つように
うながしたりしていた。
親が近づけばちゃちゃちゃちゃちゃー!
ではあるが、
親は、
「こんな近くにとまってる子にはあげません!」
てな感じでUターンしてしまう。 |
いきなりいなくなった
の家族がどうなったのかを考察する為にも
ここのツバメ達が「初飛び」をした後はどうするのかを
観察してみたいと思っていた。
の巣はこんな感じの構え。
5月17日
夜にどんな様子か巣を見にいってみた。
初飛びした後なので巣はカラかと思ったら
しっかり全員(と思われる数)が巣の中に積めこまれていた。
大きめな巣ではあるが、子供は4〜5羽いて、
どうやら親もいっしょに巣にとまっているので
本当にてんこ盛りの状態であるが、そうやって寝ている。
子供が巣から飛び立っても夜は戻ってくるものなのか!
とわかり、
の巣にも もしかして夜は子供が戻っているかもしれない!
と思って 他のツバメの巣も点検しながら
の方までいってみた。
…が、
の巣はカラだった…。
5月18〜19日
昼間、通りかかった時に
の巣をみてみたら、やはり昼間はカラだった。
この頃夕方、我が家の周りに巣立って間もないツバメが数羽
電線にとまっているのを時々見かけたが、
最初はそれが
の子である可能性もあるのでは、と思っていた。
が、ある日、
もうじき暗くなる位の時間にいつものように「電線ちゃーちゃー」なツバメをみつけて
眺めていると
親が何かを合図したような気配があり、
数羽いたヒナが一斉に同じ方向へ飛んでいった。
その方向を確認すると
の巣の方だった。
追いかけて行って
の巣を見てみると、
昼間はカラだったその巣に4羽の丸い子ツバメが
きっちりぴったりとはまりこんでいた。
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4羽の子供の中で
3羽はこちらから見て右方向をなんとなく眺めている。
先ほど両親と一緒にいた辺りの方角なので
親が戻ってきてくれるのを待っているように見える。
が、何故か左から2番目の子ツバメだけが
妙にあちこちに目をやったり隣の子ツバメをつついたり
首をかしげてこっちをみたりしていた。
一羽だけ私に気がついたのか、
あるいは落ちつきの無い性格だったのか、その辺は不明。 |
同時にやはり我が家の近所に来ていた子ツバメは
全員
の子だったらしい事を確認して
ちょっとだけ寂しい気持ちになった。
5月20〜21日
昼間のおけいこはまだ続いており、我が家の近くで飛びまわる姿がほぼ毎日見られる。
飛び方が随分上手になってきた。
夜の巣を覗いてみるとカラッポ。昼間はまだこの辺りにいるけれど
眠る時にはもうこの巣には戻らないようだ。
5月24日
「アレ今日はもう飛んでイナイみたい。もうどこかへいったかな?」
と思っていたら…
5月26〜27日
昼間、床屋の子かどうかは定かで無いが
多分そうではないかと思われる数羽がもうかなり一人前に飛びまわる姿があった。
あるいは、近くに低い山もあり小さな川もあり、
食料にする虫を捕まえやすいので
この辺りには子育て中のツバメが沢山いるし、
みんなこの辺りに狩に来ているだけかもしれない。
5月29日
床屋の巣に親ツバメがいたという目撃情報が入った!
5月30日
見にいってみると巣にさらなるリフォームが成されていた。
巣の淵と天井の隙間がもともと狭いのにさらに継ぎ足されて
もう2〜3cm程度しか開いていない。
スレンダーなツバメならばはいれるのだろう。これでも。
6月10〜15日
Wカップサッカーの真っ最中、
タマゴが孵っていたはずで、
ちゃーちゃー時代も目撃したが、
何しろ日本代表だブラジルだーの時期だった為
2度目の子供が巣立ったのはきちんと確認していない。
おそらくブラジルがドイツに勝ってW杯の優勝を決めるよりまえに
この巣での今年のツバメの子育ては完了したものと思われる。
2度目の方がしっかり観察できなかったが、
少なくとも1度目の子育てで
「初飛び」の後の様子をこの家族に見せてもらう事が出来た。
子ツバメが初めて巣から出た時点では「巣立ち」では
ないらしい。
そういうわけで、ここでは
完全に親に世話をしてもらう段階が終了した時点で
「巣立ち」と考える事にして、
初めて飛んだ時は「初飛び」と呼ぶことにした。
ちょっとショックだったのは
の子供が
「初飛び」をしていたとしても
なぜ
の子供達のように巣に戻っていなかったのだろうか
という点である。
この辺りの事も他の巣を観察することで
ある程度答えはでるであろうか。
第12章以降では、
ツバメ・マップにある他の巣の様子も紹介していきたいと思う。
つづく