『 ある春の命の物語 第14章 』

この章では
、
の巣について紹介してみる。
近所のスーパーマーケットの大きな軒下に
二組のツガイが巣を作っていた。
の方は比較的早くから巣作り、子育てが始まっていたが、
は5月になってから新築からスタートしていたので
今ごろ始まるケースもあるんだな、とも思ったが、
あるいは別の場所で1回目を終えたか、
場合によっては1回目が途中でダメになったツガイかもしれない。
*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*
5月17日
ここの子供達は「うどっち」な状態に突入していた。
この近辺では1番が
、2番が
で、 ここのヒナが3番目の早さで育っていた。
巣の近くに、何故かヒマそうな大人のツバメが1羽留まっていた。
よその巣のツバメか…とも思ったが、
一回ひと飛び、どこかへ行こうとして、すぐにまた舞い戻ってきてしまった。
この日はかなり強い雨が降っていてある程度気温も低かった。
病気になっていたのか、怪我でもしているのか、どうも気になった。
もう一羽はどしゃぶりの中セッセとご飯を運んで飛びまわっていた。
この飛びまわっていた一羽が、巣の近くにたたずむもう一羽に対して
怒って追い払うような様子が全くなかったので
止まってる方と飛びまわってる方はツガイであると思われた。
どうもこの一羽が具合が悪いように見えて心配したのだが、
雨が強く、気温が低かったので、取れる虫が少なく、
夕方でもあったので早めに切り上げてしまっただけかもしれない。
「うどっち」な状態のヒナなのである程度大きく育っており、
3〜4羽居るように見えたので、
親が暖めてやる必要もないかもしれないが、
同じ日、別の巣でもっと小さなヒナが居た巣では
親が子供を暖めていたので
この親も子供を暖め様かどうか考えていたのかな、とも思う。
ただやはり、気になったので
暗くなってからもう一度見に行って見ると、
2羽とも羽もぐで巣の近くで眠っており、
取り敢えず今はまだ大丈夫そうだと確認してその日は帰った。
5月18日 昼間
前日具合が悪そうにしていた親ツバメが心配だったが、
両親ともエサ集めに出かけているらしい。
と、一羽エサ取って戻ってくると、その後近くの電線に止まって休憩してしまった。
やはりこれは昨日のとまっていた方の親で
具合が悪かったのだろうか…。
が、子供達はとても元気で
きっと数日後には「初飛び」に辿り着いてくれるであろう。
5月20〜21日
心配した片方の親鳥はどうやら無事なようで、
もしかしたら本当に具合が悪かったのだとしても、
しっかり回復した様である。
子供はちゃんと元気に育っていて
もう今日明日には飛び立ちそうな姿をしていた。
夜は子供がぎゅうぎゅう詰めになってる近くで
親2羽が羽もぐ仲良しで夢の中…。
5月22日
夕方、そろそろ飛ぶ頃だろうと気を付けているけれどこの日はまだみたい。
夜9時頃、子供達はまだ巣の中で寝ているのを目撃した
5月24日
前日見に行けずもう飛んでいるだろうと思ったら
やはりこの日、巣はカラになっていた。また見逃した…
でもオメデトウ!
5月25日 夜10時頃
この巣の家族は初飛び後に巣の方へ戻るのかどうか確認しに見に行くと…

いた!
しかも子供2羽がくっついてる。
くっついてる?
くっついてる!
今までずっとくっついて育ってきたので
どうしてもくっついていたいらしく、くっついている。
2羽というのが少ない気がしたが…
とにかく、2羽、くっついてるったらくっついてる。
その横にちょっと離れてママツバメ、
さらにもうちょっとほど離れてパパツバメ。
ママとパパの違いは尻尾の長さで区別できる。
より燕尾が長いのがパパツバメ。
飛んでる時では見分けるのは難しいけど
このように、近くに並んで留まっていてくれると
シッポの長さの違いが分かりやすい。
数日後
私の自宅近くの電線に巣立ってまもない子ツバメが
3〜4羽居るのを発見した。
この付近で他に巣立ちそうなツバメの巣は見当たらなかったので
多分
の子だと思われる。(確証はない。ただ可能性は高い。)
2羽しか見えなかったが、他の子も無事だったらしい。
すると…!
ちょっと離れた電柱のてっぺんにカラス!
ちょいと、ヤバイですよ、お父さん!!!
と呼びにいきたかったが、そのヘンに居るとは思うが見当たらない。
それに見当たったって、呼んだら来てくれるのだろうか。
というより、見当たるほど近くに居ればすぐに飛んでくるはずだし、
など気が気では無い心境で眺めていた。
カラスの怖さをまだ知らないらしい子供達は
全く危機を感じている様子もなく
無邪気に「ちゃ?」「ちゃちゃ!」と
ご飯を取りに行ってくれてる親を待っちゃっている様子。
そこへ
「チキー!チキー!チキー!」
とけたたましく絶叫しながらやっと親鳥が来てくれた。
大変危険な状況に見えたせいで長く感じただけで
実際はそんなに長い間ではなかったのかもしれない。
何となくこれは父親の方ではないかと思われる親鳥が
「なにやってんだー!早く逃げなさい!!!」
と叱りつけてる風にも見え、
子供達はカラスよりも怒ったお父さんが怖かったみたいに
おお慌てで姿を消して行った。
の子供達のように
その後もしばしば見かけたわけではないが、
の子供と思って眺めていた
段々飛び方が上手になって行く子ツバメの中に、
この
の子達も混ざって居たのかもしれない。
6月に入ってこのツガイは
同じ軒下に別の巣を新築して2回目の子育てを開始した。
(
のお話にも続きがありますが、
のお話とともに後日また追加します)
つづく