『 ある春の命の物語 第10章 』





2002.6〜7月


・この章においては、少し物語の本筋から敢えて脱線して
ここまでとこれからの流れについて、思いを巡らせて見る事にする。



・ この2002年の春、
「ほぼ毎日観察できる所でツバメが子育てを始めた」
という事から、
特に観察を記録するつもりもなく、日々見守り続けていた所、

丁度HPを開いたばかりだったので、
ついでに載せて見ようとなんとなーく思いついたのが
この物語を始めたきっかけだった。


今までにももちろん、ツバメが巣をかけて子育てしている風景は
様々なところで何度も見たことはある。


それはツバメが生息する地域(日本ではほぼ全国区)に住む人なら
誰でもそうであろう。

ただ、静岡辺りでは正確にはいつ頃ツバメが帰ってくるのか、
タマゴが孵るには、子供が育つには、
どれくらいの日にちがかかるのだろう、といった
細かい事を一度ちゃんと調べてみたいとは思っていた。

良い機会だった。


( 飛んでるツバメの元の画像でございます。 )


この物語を始めた時点で、実際には定点SKツバメ家族の子育ては
進行中の状況だった。

よく、子育て中にヒナが落ちて死んでしまうこともあると聞いていたし、
このツバメ家でもそういった事が起こる可能性もあった。

それでも、途中段階でも順調に育っていたし、
この物語は、彼らが巣立つ事で、
平凡ではあるが、ささやかな大団円をもって、
最終章を迎えることになるのだろうと思っていた。

それは、ほとんどそうなるはずの寸前の所で

アレ…?というちょん切れ方をしてしまったのである。

・ 観察中のツバメ家族がある日突然、消えた!!!

単に普通に巣立って居なくなったのを
その時に運悪く立ち会えなかっただけなのか…?

そうであればそれでも別に良い。

ただ、何故かそう思えない要素がどうしても無視できなかった。

「巣だったばかりのまだ上手に飛べない、食事も一人で出来ない子ツバメが、
いきなり巣の付近から姿を消してしまうものだろうか。」
「だいたいなんで、巣があんなにボロボロに破壊されていたのだろう」

という、この2点が特に気になった。
少し早い気がした事もあるが、
その点については個体差もあるだろうと、
不安の要素として強いものではなかった。



一般的にツバメの生態として
巣だったばかりの子ツバメとそれを見守る親というのは
いったいどういう生活をするものなのか、

それを知るために可能な限りあがいて見た。
そして、二つの情報源からある程度の事がわかった。

一つはインターネットでの検索である。
タイヘンふつう極まりない手段ではある。

丁度「ツバメ家族が消えた!!」の頃、
ADSLが開通していた。

キーワードを
「ツバメ」にすると、プロ野球のスワローズのファン・サイトなどが
出てきてしまった。

そこで、
「ツバメの観察日記」とか、
「ツバメの巣立ち」などで検索しなおして見た。


自分の家や、仕事場などにツバメがやってきて、
それを喜んで温かく見守り、
そしてその観察日記を自分のHPに公開している人は
思ったとおり、案外沢山いた。


ただそう簡単には納得できる情報を見つける事は出来なかった。

もう一つの情報源は、
「定点SKツバメ家族」の前日に巣立ち祭をやっていた
あの「床屋ツバメ」の家族である。

しかし、ここの家族には逆に、定点ツバメ家族について、
不安な気持ちになるような、
なんというかねたましいような、複雑な気持ちも抱いていた。

先に巣立った床屋のツバメコ達はまだこの辺りにいるのに、
あの家族はどこにも見あたらないなんて、
何でなの、それは!?!?

理不尽なジェラシーと自覚しつつ、
「いいなぁ、床屋の子達はまだ居て、いいなぁ」
と、そうはいっても顔はあの家族のツバメコ達と見分けがつくわけでもなし、

つまり、ツバメであれば、例外無く激烈キュートでビューリホー。
見ていて飽きるわけもなし。

・ 普通に物語が進んでゆき、普通に終了するのであれば、
それは自動的に一つの野生生物の生態の観察記録にもなる予定だった。

それが、何やら違う状況に、
つまり、ツバメへの思慕をつらつらと告白する方向へ傾きつつある中、

ツバメの子育ての記録としての形を、
形だけでも成立させる為に、

「巣立った後の(子供が飛ぶようになってからの)
ツバメの行動」については、
この床屋ツバメ家族が、キャスト交代でその愛くるしく逞しい命の姿を
見せてくれたと言うことにしてしまおう。

さらに、『 第7章 』 で紹介したこの辺りに他にも沢山あったツバメハウスの
その後の様子も含め、
ツバメの生き方そのものに興味がある人にとっても
多少の情報を提供できる内容にして行く事を考えて見たい。


・ といった所で、
ぱっと見でツバメには見えにくい、
このような小鳥が数羽集まってるのを、見たことがありませんか?



実際には夕方によく見かけたし、
小さいのが高ーい所にいるし、
ノドやお腹の色はわかりにくく、
全体が黒っぽい風にしか見えないんだけども、

何をしてるかって…!?

細かい話は 『 第11章 』 以降で紹介する事にしよう。


つづく


(巣立ちツバメ・バタバタの図の元の絵でございます)


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