『 ある春の命の物語 第 12 章 』

この章ではこの地図の中で紹介されている巣の中で
時々巡回して様子を見ていた家族について
それぞれにまとめてみる。
このA街道の上側(
) は
地図の上では
からもソレほど離れていない様に見えるが、
普段の自分の行動パターンの中で道の向こう側を歩くことが少なく、
また、O銀座 (
)も、クルマで通過する事はしばしばあったが、
ゆっくり歩いて観察する機会はあまりなく、
これらの巣については
数日ごとに巡回して様子を確認する程度であったため、
あまり細かい様子はご紹介出来ない事をご了承頂きたたい。
(
の巣は今年はどこのツバメも利用した気配がなかった。
は、一連の観察の後の方になって「ここにもあった」というのを見つけて
少し離れていた事もあって何度も見に行く機会がなかった為、
日付けなどの詳細は記録していない。
ただ、ここではちゃんとヒナが飛ぶまでは育った様子を確認出来た。)
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この辺りで通称「バス通り」と言われる通りとO銀座の角にある
小さな薬局のビニールで出来た軒の下、
蛍光灯の上にここの巣は作られている。
お店の人の心遣いであろう、目隠しの板が
ブラインドがわりに吊るしてあった。
5月14日
2〜3日目と思われるヒナが3〜4羽いるのを確認した。
5月17日 昼間
この日は雨もふっており少し涼しい日だったので
片方の親が昼間から巣に入って子供達を暖めていた。
エサを取って来る事をもう片方の親だけでやらなければならないし、
雨の為、気温が低い為などで虫も少ないだろうから
子供達もお腹が空くだろうし
両方の親とも体力を消耗するであろうと思う。
子育て中に雨が続くとヒナが死んでしまう事もよくあるそうである。
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こちらはO銀座がA街道にぶつかる交叉点の近くにある
電業店の建物の通りに面した壁に作られた巣で、
かなり以前から見かける巣の一つである。
比較的大きめな巣である。
5月14日
母親が抱卵中であった。ちょっとお留守になった瞬間に
ツバメミラー発動!
すると、タマゴは6個あった。
5月17日
前回は6個のタマゴを発見!この日も引き続き暖めていた。
ママツバメの真剣な眼差し!抱卵中のツバメはみんな大マジメ。
5月18日 昼間
ママツバメ、お腹の下がもしょい感じの様子。出てるかも!ベビツバメ!
5月20〜21日
夜は両親とも巣には居らず。あと数日で顔出しの頃のはず。
5月25日 夜10時頃
ママらしきツバメが巣で子供と一緒に眠っている。パパ、見当たらず。
……など、ある程度順調に子育てが進んでいる様子が見られたのだが、
残念ながら数日この巣を見ていなかった間に
どうも一回目の子育ては失敗してしまったようだった。
というのは、5月末〜6月初あたりに2回目の子育てを始めているようだったのである。
1回目との時間の関係がちょっとおかしい。
の巣の事を思い出すと、もし1回目が上手く育っていれば
2回目の開始はもう少し後になるはずである。
さらに、2回目についてもしっかり終了出来なかった様子であった。
この巣の方を通る機会があった時は出来るだけ見るようにしていたが、
で見たような「もう間もなく飛びそう。というより頑張れば飛べそう」
といった状態のヒナを見かける事はなく、
いつのまにかカラになってしまっていた。
残念ではあるが、
野生の生命である彼らはこういった事も受け入れながら
生きて行くのであろう。
全ての巣で子育てが完全に成功し、
全ての子供が無事に来年も戻ってくる確率が相当に高いのであれば、
ヒナの数は平均的に1羽であっても充分であろう。
今まで実際に一番沢山のヒナが一つの巣に入ってるのを見たのは
7羽であった。
この年の事ではなく数年前の事だった。
左端から右端までギッシリであったが、
確かこの
の巣ではなかったかと記憶している。
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と
の中間点あたりにある お惣菜屋サンの軒下に作られた
小さめの巣である。
このお惣菜屋サンは店構えは決して大きくはないが、活気があって
かなり近所の方々に親しまれ、信頼されているお店の一つである。
ツバメに選ばれるのも最もであろうと思われる。
5月14日
4〜5日目くらいのヒナが3〜4羽いた。
丁度親が食料を手に入れて戻ってきた所を見る事が出来た。
5月17日
そろって顔を出していた。首は座ったようだ。
5月18日 昼間
そろそろ目が開いてるころかと…
5月20〜21日
夜、子供達は随分大きくなって山盛りテンコモリ。
まだ巣立ちの頃ではないが
ここの巣はちょと小さい。小さいのに沢山元気に育っているのでこうなる。
5月25日 夜10時頃
相変わらず山盛り。
5月27日
いつのまにか巣がカラ!
育ち具合から考えてそろそろ飛んでいても不思議は無い頃だったので
どうやらちゃんとみんな無事にはばたいていった模様である。
ここもまた見逃した!しかしながら、何よりもオメデトウ!!!
その後、2回目の子育てに入っているのを目撃した。
一回目とは違う向きの壁に2軒目を新築していた。
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ここからA街道の「あっち側」の巣の紹介に入る。
(
も地図上で同じ並びにあるが、
ワケあってこちらは後ほど紹介することにする。)
は 以前も紹介したが、
一度お店の方とツバメの話をさせてもらった事があった。
こちらのお店でももちろんツバメを歓迎しており、
大切に見守ってらっしゃる事を伺った。
昨年以前には
「初飛び」した子供達と親鳥が
いっしょに軒下に集まって眠っていたのを御覧になったこともあるらしく
それはそれは愛くるしい様子であったと
目を細めて語ってくれた。
5月14日
タマゴが3個あったが親は不在であった。
お店の人とお話している間もちっとも戻ってこなかったので
不思議に思ったが…
5月17日
その後も何度か見てはいたが、留守になってる事が多かった。
タマゴがあったのに、どうしたのだろうと思っていた。
多分その頃は、毎日一個ずつのタマゴを産んでいた
「 連日日帰りハネムーン 」 の時期だったのだろう。
以前、第3章で
あんなに細いカラダで6個もなんて…と書いたが、
普通に考えれば、それは物理的にもムリだわ。
後で調べて分かった事によると、
ツバメは巣が完成すると1週間前後の期間をかけて
毎日一個ずつのタマゴを産んでゆくそうである。
定点
の夫婦は最初のスペクタクル(第1章)の後、
リフォームを始めて10日目で落ちついて暖め始めた。
タマゴは6個だったと言う事は、この10日のうち、
最初の3〜4日でリフォームは済んだのだろう。
となると、6個の内、最初の一個から最後の一個まで
5〜6日の差がある事になるが、
孵化にはそんなに差がなかった。
最初のタマゴはゆっくり育ち、最後のタマゴは急いで育った事になる。
ご両親がタマゴを一個ずつ産みながら「連日日帰り…」を繰り返すので
暖められかたが異なるからかもしれない。
あるいは、ホルモン等の生理学的にもっと複雑な事情もあるかもしれない。
男の子の雛の方が多めに産まれるそうであるが、
それももしかしたた関係あるのかな。
夜10時ごろ、どんな風に眠っているかの巡回では
一羽がタマゴを抱きながら眠っていた。
5月20〜21日
ママツバメ、お腹の下もしょもしょい感じ。
夜はママツバメのみ、巣に座って「もうヒナ」か、「まだタマゴ」
の状態が混在すると思われる我が子達を抱きながら眠っていた。
この巣では夜は母親のみが巣に残っており、
父親は近くにいるとは思われるが、暗い中では見つけられなかった。
その後、よく見かけるような子育て本番の様子は
時々見かけたが、
残念ながらしっかり育ったかどうかを見届ける事は
この巣については出来なかった。
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ここの建物には全部で二つの巣があって、
一つは通りから見える大きなウィンドウの上辺りに、
もう一つは奥まったお店の入り口の付近にあり、
使っているのは入り口の方の外から少し隠れた位置にある方の巣であった。
5月14日
2〜3日目位のが3〜4羽
親は不在。
やはり子供が全て孵化している巣では
ほとんどの場合、両親とも虫取りを頑張っている。
そうでないと子供達が必要なだけのカロリー・ミネラル・ビタミンその他
追いつかないのであろう。
ツバメを注意深く観察した事の無い人でも
この子育ての場面だけはつとに有名なのは
親の懸命さと
ヒナ達のヒシガタ大口限界メイッパイofゴハンチョーダイノ叫ビ!シーンが
あらゆる人にとって印象的なのであろう。
5月17日
元気に育っていてもまだ小さいだろう。
と同じくらいだと思う。
夜の様子は…
親鳥2羽が、両方とも巣に入り、
ペケ型に交差して子供を暖めながら
自分達もお互いに暖めあいながら休んでいた。
仲良しなご夫婦だ。

5月18日
下からは見えぬ。親は出かけている。孵化して5〜7日程と思われるけれども…
5月 20〜21日
あと数日でベビツバメが巣の淵から顔をだしてくれるなずである。
が、まだ下からは見えず。
夜は以前の時と同じく、2羽が巣の上にペケになってよりそって眠っていた。
この夫婦はいつも一緒に眠るらしい。
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5月14日
リフォームされてるけど中はカラ、親も不在。
5月17日夜
抱卵中の親がいた様に見えたが、あまりに暗くて良く見えなかった。
その後も何度か除いて見たがどうも留守である事が
多かった様に思う。
は確かに子育てをしており、
はどうやら上手くいっていない様子が感じられたが、
このどちらも、
と同じく最後までしっかり見届ける事は
出来なかった。
結局今年、
では見る事が出来ず、
だけで見る事が出来た 感動的な初飛びの様子は
ここに紹介したいくつかの巣においても見る事は出来なかった。
だけが無事 「初飛び」までは成功したらしいのであるが、
こちらの巣では
の様に 「初飛び」 の後、
巣や、その近くに戻ってくる事はなかった。
そのおかげで
の子供達も、
巣に戻らなかっただけで他の場所で無事でいてくれるかもしれない可能性を
考える事が出来たが、
この後の 『 第14章 』では
やはり「初飛び」の後、巣の周辺に戻って眠る家族が他にもいた事を紹介する。
他に、ここまでの巣で分かったことは、
ヒナが孵化した後、
夜に両親ともが巣に戻っている場合、片方の親だけが子供を抱いている場合、
気温や、子供の数、育ち具合にもよるであろうが、
両親ともが夜は巣から離れている場合など、
様々であることがわかった。
初飛び後の行動もそうであるが
両方の親が昼間や夜にどのように過ごすかについても
かなり臨機応変であるらしい事がわかった。
巣のサイズと子供の数も必ずしも比例しているわけではなく、
での6羽というのは今年観察した中では最多であったが
巣の大きさはかなり小さい方にランクされる。
これらの事はツバメにとっては理路整然とした根拠があるのか
それとも彼らそれぞれの単なる個性によるものなのかは
さっぱりわからない。
次の 『 第14章 』 では
について、
その次の『 第15章 』 では
についてのの紹介を
それぞれにしていきたいと思う。
(ところで、“13”という数はどうも性に会わないので
次は一個飛ばして“14”にすることにしました。
誤りではございませんのでご了承を。)